皆様が毎日を快適に
過ごすための虫歯治療
To spend every day comfortably
虫歯で歯が痛くなったり冷たい物がしみたりすると、楽しいはずのお食事もストレスのもとでしかありません。さらに重症化すると、夜も眠れないくらいの激しい痛みとなり、肉体的・精神的にも支障をきたすようになってしまいます。
患者様が訴える痛みを含む不快な症状を軽減し、日々を健やかに過ごせるようにサポートをするのが、私たちの役割です。初期の虫歯であれば、歯を削る治療にもそれほど痛みを伴わず、侵襲も少なく済みます。大切な歯を守るためにも、口内に違和感がある方は、できるだけ早めにご相談ください。
SYMPTOMS 虫歯の主な症状
- 歯の痛み
- 歯が欠ける
- 歯に穴が開く
- 冷たい物・熱い物
甘い物がしみる - 歯が黒く
変色する
PROGRESS 虫歯の進行と症状
天然歯は硬い一塊の物質が骨に埋まっているのではなく、エナメル質や象牙質など、様々な組織が何層にも組み合わさって構成されています。そのため、虫歯がどの組織まで進行したのかによって、症状や治療法も大きく異なるのです。この項目では、虫歯の進行と症状についてご紹介させて頂きます。
-
自覚しにくい初期の虫歯
歯の表面のエナメル質は人体の中で一番硬いと言われていますが、酸には弱いのが特徴です。そして、口内に食べかすや磨き残しがあると虫歯菌が糖を取り込み、代わりに酸を吐き出してエナメル質からカルシウムが失われていきます。その状態を脱灰といい、歯の表面が褐色、または白く濁っている、痛みなどの症状がない段階です。
-
エナメル質の虫歯
虫歯の酸によってエナメル質が溶けてしまい、歯の表面に穴が開いている状態です。直接的な痛みはありませんが、穴に食べかすが詰まりやすい、穴の端から歯が欠けてしまうなどの症状が現れます。この段階であれば、麻酔なしで歯を削っても痛みはありません。
-
象牙質の虫歯
エナメル質の内側にある、象牙質にまで虫歯が達した段階です。歯が黒く変色し、穴も大きくなっているため、患者様本人にも虫歯であることが分かりやすくなっています。冷たい物や熱い物、甘い物などを食べると歯にしみたり、穴の淵から歯が欠けたりする可能性があります。
-
神経に達した虫歯
歯の中心にある神経と血管の複合体である、歯髄にまで虫歯が達しています。呼吸をするだけでも歯が痛んだり、硬い物を食べると歯が割れたりすることがある、非常にもろい状態です。
この段階で神経が炎症を起こしている場合、神経をきれいに取り除いた穴を掃除する根管治療を行い、被せ物で歯を保護する必要があります。神経を抜いた歯は水分や栄養が行き渡らず、枯れ木のようにもろくなるため、より慎重かつ丁寧なメンテナンスが必要です。 -
残根
歯茎より上に出ている歯が酸によって溶かされ、根っこだけが残った状態を残根といいます。神経が死んでしまっているため、痛みが出ないことがほとんどです。歯の内部に大量の細菌が発生しており、放置していると根っこの先に膿が発生して歯を支える歯槽骨を溶かしてしまうため、抜歯になる可能性が高くなります。
虫歯の治療法
CR充填 CR filling
CR充填とは、初期の小さな虫歯を削った穴に、コンポジットレジンという樹脂を直接詰める、詰め物治療の一種をいいます。歯の型取りをしないため、その日の内に治療を終えることが可能です。従来の詰め物治療では、詰め物をしっかりと歯に固定・人工物の厚みによって強度を上げるために、虫歯部分より大きく歯を削る必要がありました。それに対し、CR充填は必要最低限の侵襲で済むため、天然歯の寿命を守れるのが大きなメリットです。
なお、コンポジットレジンは他の素材に比べて吸水性が高いため、コーヒーやワイン、カレーなどの色の濃い食べ物を頻繁に取る方の場合、色が付きやすくなります。また、歯肉が炎症を起こして出血している場合には、CR充填が選べません。保険診療の金属または、自由診療の素材による詰め物治療が主な選択肢となります。
インレー(詰め物) Inlay
まだ大きな侵襲のない、C1・C2の初期虫歯で選択できる治療法です。虫歯部分を丁寧に削り、歯型を採って作製した模型を歯科技工所に送って、詰め物の作製を依頼します。詰め物ができるまでの間は、削った部分に仮の詰め物を入れて歯を守ります。その後、完成した詰め物を治療部分に当てて最終調節を行い、接着剤でぴったりとくっ付けることで治療は終了です。
インレーでは様々な素材が選べますが、保険診療の場合には金属素材が基本となります。いわゆる銀歯と呼ばれる、強度が高いものです。しかし、経年によって金属がイオン化して溶け出し、金属アレルギーを引き起こしたり、歯茎が黒ずんだりする原因になりかねません。
また、銀歯は唾液によって接着剤が溶け出し、歯と詰め物の間にできた空間から細菌が入りだすことで、二次虫歯ができる可能性が高い素材です。天然歯を長く残したい方は、全身の健康へ配慮をしたい方には、自由診療のセラミックやジルコニアなどの、ノンメタル素材を推奨いたします。
クラウン(被せ物) Crown
重度の虫歯治療で歯を大きく削ったり、神経を抜いたりした場合、切削部分を保護しつつ歯の機能を取り戻す目的で被せる人工物を、クラウンと呼びます。切削部分から採った歯型の模型を歯科技工所へ送り、被せ物が完成したら歯に入れて最終調節を行うのが、基本的な流れです。
被せ物が必要な段階では、歯が甚大なダメージを受けているため、虫歯が再発してしまうと歯の寿命が急速に短くなってしまいます。しかし、保険診療の銀歯は経年劣化が早く、被せ物を固定する接着剤も唾液によって溶けやすいことから、5年程度での再発が見受けられます。
神経を抜いた後の天然歯をできるだけ長く維持したい場合、歯と人工物の間に隙間ができにくいセラミックやゴールド、耐久性の高いジルコニアなどで、再治療までの期間を引き延ばす工夫が必要です。治療をする歯列の部位によっても適合する素材が違うため、患者様の症例に合う素材を歯科医師からご案内させて頂き、ご理解とご同意を得た上で被せ物治療を始めています。
ROOT CANAL
虫歯菌が歯髄に達した場合、
根管治療が必要になります
虫歯が重篤化して歯髄(神経と血管が合わさった組織)まで進行した場合、抜髄後の歯の保存を行う、根管治療(歯内療法)に進みます。根管とは歯髄を抜いた穴のことをいいます。抜髄後に歯が長く残せるか否かは、根管内の細菌をどれだけ徹底的に取り除けるかに掛かっています。
根管内は非常に細いため、内部を清掃して薬剤を緊密に詰めるとなると、大変な手間が掛かります。特に奥歯の治療は根っこの本数が多くて手間が必要な分、通院回数も多くなりがちです。
「どうして歯の治療にこんなに回数が必要なの?」と思われるかもしれませんが、根管治療後にトラブルを繰り返したり、短期間で抜歯に至らせたりしないためにも、時間を掛けた丁寧な治療が必要であることを、ご理解頂ければ幸いです。